日本のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が米国スタートアップ企業への投資で成功した事例においては、長期的な視野で対象会社とパートナーシップを築いている傾向がみられます。キャピタルゲインは重要な要素ですが、それだけでなく戦略的な業務提携という視点も重要です。 本シリーズの前編では、こうしたコラボレーションのための投資ストラクチャー及びファンド組成について検討しました。今回のウェビナーでは、ガバナンスや出口戦略に関する取引の重要条件、対米外国投資委員会(CFIUS)について解説し、これらに関する課題を克服するためのベストプラクティスをご提案しています。
2018年に成立した Foreign Investment Risk Review Modernization Act (FIRRMA) によって、米国外の投資家による米国会社の支配権の取得に加えて、「重要な技術」「重要なインフラ」「センシティブな個人データ」に対する投資もCFIUSによる審査の対象となりました。
FIRRMA制定後、重要な技術に対する投資及び外国政府関係者による投資には、届出を行うことが法律上の義務となりました。法律上の届出義務がない場合であっても、クロージング後にCFIUSによって取引を無効にされるリスクを回避するため、実務上、任意の届出を行うケースが多くあります。
法律上の義務に基づく届出だけでなく、任意の届出又は申告(Declaration)を行うべきかについても検討する必要があります。 CFIUS届出には、少なくとも4~5ヶ月程度(審査期間90日+正式な届出前の準備期間1~2ヶ月程度)かかるのが通常で、投資スケジュールに大な影響を与えるため、取引の初期段階から検討を開始することが重要です。
日本企業が米国投資を検討する際に、企業文化の観点からいくつかの課題があります。米国と比較して、日本企業は意思決定を詳細に書面化する傾向にあるため、意思決定のスピードや秘密性を欠くことがあります。また、友好関係を求め、緊張感のある契約交渉を避ける傾向も見られます。更に、世界でもトップクラスの技術を持ちながら、権利行使については消極的な部分もあります。リスクを嫌い、訴訟を回避しようとする傾向もあります。
上記に関する更に詳しい内容は、モルガン・ルイス主催のウェビナー「米国スタートアップ企業へのCVC投資(後編): 取引成功の秘訣: 重要条件及び留意点(日本語講演)」をご覧ください。本講演は2023 年ウェビナーシリーズの1つとして、日本企業やファンドを対象に、米国スタートアップ企業に対する投資に関する新たなビジネスモデルの展開について概説しております。
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